遮断機能付地絡トリップ形高圧ガス負荷開閉器
GBT
遮断機能付地絡トリップ形高圧ガス負荷開閉器
用途
自家用電気設備の事故(故障)が原因で配電線へ波及し停電になると、他の自家用電気設備も停電し社会的に 大きな影響をおよぼします。こうした波及事故防止と共に工場構内の区分開閉器および主遮断装置(地絡、過負荷、短絡事故の保護)として最適です。
過電流ロック形高圧負荷開閉器は、過電流(短絡)事故の場合は電力会社の配電用遮断器を一度遮断させ無電圧の状態で開放しますが、本装置は地絡、過負荷、短絡事故の全てを検出し、事故点を切離しますので、波及事故を完全に防止することができます。
開閉器の特長
- 消弧性能および絶縁性能が抜群に優れているSF6ガス(不燃性ガス)を消弧媒体とし、独自の消弧方式により高遮断能力を持ち、小形・軽量化を図りました。
- ケースは耐久性および耐候性に優れているステンレス材を使用し、さらに防食性能を高めるために塗装をしています。
- 当社独自の消弧構造(マグネブラスト+圧力消弧方式)により安定した遮断性能を有しています。
- 操作機構はハンドル操作力に影響されない完全トグル蓄力機構により「入」「切」操作が確実です。
- SF6ガスの高絶縁性能により耐雷性能の向上と、電源、負荷の格差絶縁協調(負荷側先行閃路)を図っています。
- 雷撃などにより万一開閉器内部で短絡しても、放圧装置の作用により周囲に被害を与えない安全設計です。
- 200Aは封入ガス圧(0.05MPa・G)が低下(0.014~0.02MPa・G)した場合に動作し、300A、400Aは封入ガス圧(0.1MPa・G)が低下(0.05~0.055MPa・G)した場合に動作し、その時の状態(入の場合は入、切の場合は切)のままロックします。同時にガス圧低下表示器で表示(赤色)します。
- 制御装置の自己診断表示灯が点灯します。
開閉器の定格および仕様
形式 | 方向性 | GBT-B-D2N11 | ||
---|---|---|---|---|
無方向性 | GBT-B-N11 | |||
定格電圧 | 7.2kV | |||
定格周波数 | 50/60Hz | |||
定格耐電圧 | 60kV | |||
定格電流 | 200A | 300A | 400A | |
定格短時間耐電流(1秒間) | 8kA | 12.5kA | ||
定格短絡投入電流 | 20kA-3回 | 31.5kA-3回 | ||
定格遮断容量 | 100MVA | 160MVA | ||
定格遮断電流 | 8kA-3回 | 12.5kA-3回 | ||
定格遮断時間 | 0.05秒(50ms) | |||
引外し方式 | コンデンサ引外し方式 | |||
開閉性能 | 負荷電流 | 200A-200回 | 300A-200回 | 400A-200回 |
励磁電流 | 10A-1000回 | 15A-1000回 | 20A-1000回 | |
充電電流 | 10A-1000回 | |||
無電圧連続 | 1000回 | |||
地絡検出方式 | 地絡電流:ZCT(開閉器内部主接点の電源側に装備) 地絡電圧:ZPD(開閉器内部主接点の負荷側に装備)※方向性のみ |
|||
過電流検出方式 | CT(開閉器内部主接点の負荷側に装備) | |||
耐塩じん汚損性能 | 0.35mg/cm2(耐重塩じん用) | |||
封入ガス圧 | 0.05MPa・G(at20℃) | 0.1MPa・G(at20℃) | ||
ガス圧力低下表示・ ロック装置動作範囲 |
0.014~0.02MPa・G | 0.05~0.055MPa・G | ||
制御回路 口出線 | 方向性 | 6心シールド付(Z1・Z2・Y1・K1・K2・L) 11心ケーブル・・・10m付(CVV-SXM) |
||
無方向性 | 5心シールド付(Z1・Z2・K1・K2・L) 9心ケーブル・・・10m付(CVV-SXM) |
|||
主回路口出線サイズ | 80mm2-40cm | 100mm2-40cm | 125mm2-40cm | |
総質量 | 方向性 | 39kg | 57kg | 60kg |
無方向性 | 38kg | 56kg | 59kg | |
規格 | JIS C 4603(高圧交流遮断器)準拠 JIS C 4607(引外し形高圧交流負荷開閉器)準拠 |
選定について
- 遮断容量に対する検討
定格電流別の定格遮断容量および定格遮断電流は下表のとおりです。
設置点の遮断容量(遮断電流)に合った定格電流を選定して下さい。
使用電圧 | 項目 | 定格遮断容量 | 定格遮断電流 | ||
---|---|---|---|---|---|
定格電流 | 200A | 300A・400A | 200A | 300A・400A | |
6.6kV | 100MVA | 160MVA | 8kA | 12.5kA | |
3.3kV | 50MVA | 80MVA | 8kA | 12.5kA |
- 変圧器の定格電流に対する検討
変圧器の定格電流に対して、開閉器の定格電流が大きくなるように選定して下さい。
※3kVラインで方向性地絡機能付を使用される場合は、地絡動作電圧整定値が異なりますのでご注意下さい。(零相電圧検出感度が1/2に低下します。)
制御装置の特長
- 事故種別はマグサインにて表示し、GR(地絡)、OC(限時、瞬時)の区別ができます。併せて警報接点を独立して設けています。
- 停電保証機能付です。
地絡事故:制御電源喪失後2秒以内、過電流事故:制御電源喪失後48時間以内(但し、過電流が75A以上の場合) - 端子配列を横一列にしているため(屋外形)、ケーブルの接続が容易です。また、制御装置の端子部に色別銘板を貼付しています。
- 整定値以上で表示するIo,Vo,OC表示灯や電源表示灯を設けていますので入力の状態が一目でわかります。
制御装置の定格および仕様
種別 | 方向性 | 無方向性 | |
---|---|---|---|
形式 | 屋外形 | GBR-B-DO | GBR-B-O |
埋込形 | GBR-B-DF | GBR-B-F | |
定格制御電圧 | AC100V/110V | ||
定格周波数 | 50/60Hz | ||
消費電力 | 7VA | ||
地絡動作電流整定値 | 0.2-0.3-0.4-0.6(4段切替) | ||
地絡動作電圧整定値 | 完全地絡時の2-5-7.5-10%(4段切替) | - | |
地絡動作時間整定値 | 0.1-0.2-0.3-0.4-0.5(5段切替) | ||
地絡動作位相特性 | 一般地区用:遅れ45°±15°~進み135°±15° PC地区用:遅れ60°±15°~進み120°±15°(2段切替) |
- | |
限時電流整定値 | 7.5-15-20-30-40-50-75-100-150-200-250-300A(12段切替) | ||
瞬時電流整定値(※1) | 限時電流整定値の10-15-20倍(3段切替) | ||
限時動作時間目盛(ダイヤル) | 1-2-3-4-5-6-7-8-9-10(10段切替) | ||
試験零相電圧基準値 | 2%時-AC76V、5%時-AC190V、7.5%時-AC285V、 10%時-AC390V |
- | |
警報接点性能閉路電流(誘導負荷) | AC100V-2A,DC100V-2A |
※1 瞬時動作は「限時電流整定値×瞬時電流整定値」以上の過電流発生時ですが、1200A以上の過電流発生時には、上記の瞬時電流整定値に関係なく瞬時動作します。
自己診断機能
制御装置に搭載したマイコンにより、地絡検出回路、過電流検出回路およびトリップ回路を常時自動的にチェックし、万一異常の場合は自己診断表示灯が点灯します。表示灯の点滅方法により異常内容の判断ができます。
動作説明
(1)開閉器の動作
上位の遮断器をトリップさせないよう電流および時間協調を取る必要があります。
・地絡事故の場合
整定値以上の地絡電流が流れるとGR回路が働き、開閉器を開放します。
・過電流および短絡事故の場合
過電流整定値以上の事故電流が流れるとOC検出回路が働き、設定された動作時間特性に示す時間後に
トリップ信号を出し開閉器が開放します。
・地絡と過電流併合事故の場合
地絡と過電流事故が同時に発生した場合は、動作時間の早い方で動作します。
※ガス圧力定価表示および状態ロック装置が動作した状態では、上記の事故が発生しても開閉器は
開放しません。
(2)変電所CBとの保護協調(瞬時電流整定値以上の過電流発生の場合)
・高圧受電設備規程では電力変電所CBと需要家側CBとの動作協調をとるため、需要家側CBの全遮断時間は
180mS以下とするようになっており、本装置(開閉器含む)の全遮断時間は約150mS以下としています。
これは需要家側CBの全遮断時間とほぼ同じ値です。
・本装置の保護範囲は本装置の負荷側以降の地絡と過電流保護です。このため、過電流発生時には、
負荷側のCBとは協調がとれません。従って、需要家CBの負荷側で過電流事故が発生したときは、
両者共遮断する場合があります。なお、電力側CBとは下記のような協調を図っていますので、
CBを遮断させることはありません。
※配電用変電所過電流継電器動作時間(180mS)-本装置の全遮断時間(100mS+50mS)
=30mS(動作協調の余裕時間)
動作設定
1.1200A以上の過電流が発生しますと、瞬時電流整定値とは無関係に瞬時動作します。
2.ダイヤルの数字は300%通電時の動作時間を示します。
D=1の場合、300%通電時の動作時間は1秒となります。
3.瞬時動作は瞬時電流整定値により異なり整定値が10倍・15倍・20倍の場合それぞれ
限時電流整定値の1000%・1500%・2000%より瞬時動作となります。
4.本特性は制御装置単体の特性であり、開閉器の遮断時間は本特性に0.05秒加えた値になります。
※ダイヤル(限時動作時間目盛)の設定について
標準的には中心のD=5(300%通電時の動作時間が5秒)でご使用下さい。但し負荷の条件により
満足しない場合(モータ負荷等で起動時間が長い場合)は負荷条件に合わせてご使用下さい。
※瞬時電流タップの設定について
瞬時動作の電流整定値は10・15・20倍の3タップを設けていますが標準的には最小の10倍でご使用
下さい。但し変圧器等の励磁突入電流等が大きい場合は(10倍以上)その条件に合わせてご使用下さい。
※50/60Hz周波数切替スイッチの設定について
周波数切替スイッチは正しく設定して下さい。設定が合っていないと(50Hzで60Hzにセットまたは
その逆の場合)自己診断表示灯が点滅します。
施工上の注意点
- 開閉器の装柱について
・開閉器を装柱される場合は開閉操作をスムーズに行うために、ハンドルを電柱側にして取付けられることを
お奨めします。 - 開閉器主回路の接続について
・開閉器のケースに表示している「電源側」「負荷側」に合わせて接続して下さい。逆に接続しますと
方向性の場合、電源側の地絡事故を検出し不必要動作をしますのでご注意下さい。 - 開閉器と制御装置の接続について
・制御ケーブルは静電シールド付制御用ビニル絶縁ビニルシースケーブルで、方向性は6心シールド付
(Z1、Z2、Y1、K1、K2、L用)11心ケーブル(10m付)、無方向性は5心シールド付(Z1、Z2、K1、K2、
L用)9心ケーブル(10m付)が標準です。Z2とLとシールドは共通線で引出しています。
・誘導による影響を少なくするため、高圧線や制御電源の配線と同一ダクトに収納しないで下さい。
高圧回路は少なくとも30cm以上離してください。
・ケーブルを継ぎ足す場合は別売りの中継端子箱(TB-B-Q4)をお奨めします。
直接継ぎ足される場合は次のように行って下さい。
①ケーブルサイズは1.25mm^2以上とし、必ず同種類のケーブルを使用して、中間接続点で誤結線・
電線相互間の混触がないよう確実に接続して下さい。また、自己融着テープなどを使用して、
接続部から雨水の侵入がないよう端末処理を確実に行って下さい。
②シールド内は、方向性はZ1、Z2、Y1、K1、Lの6心のみ、無方向性はZ1、Z2、K1、K2、Lの
5心のみとし、他の制御線は入れないで下さい。
③開閉器側制御ケーブルの端末は、シールドの接地線(緑/黄線入り)をZ2端子に半田付け
していますので、継ぎ足す場合にはZ2端子から接地線を外して端子信号を合わせて接続し、
またシールドも接地線を利用してシールドとシールドを接続して下さい。
④継ぎ足した側のケーブル端末は、シールドとZ2端子を接続して下さい。
・開閉器と方向性制御装置の距離は300mを限度として下さい。
なお、300mまでは実使用上問題ありませんが、100m以上ご使用の場合は動作試験等の保守管理の際に、
ケーブルのインピーダンスによっては、試験器の出力が十分に得られず、試験ができない場合が
ありますので、ご計画の際は制御ケーブルの亘長をできる限り短い距離でご計画下さい。
- 接地について
開閉器 | 制御装置(Z2端子) | |
接地の 種類 |
A種接地(10Ω以下) | D種接地(100Ω以下) |
---|---|---|
注意事項 | ・方向性でZPD内蔵のため接地をしない とGR事故の場合正常動作をしません。 ・アレスタとは共用接地をしないで 下さい。 |
・制御ケーブル側のZ2とシールドは直結して いますのでZ2端子は必ず制御装置側で 接地して下さい。 |
開閉器の接地とZ2端子は別接地して下さい。 |
・接地抵抗は安全性及び低圧機器の保護の上からできるだけ低くして下さい。
・接地端子は開閉器の下部にあります。
標準価格(制御装置付)
形式 | 定格電流 | 標準価格(税別)(円) |
---|---|---|
GBT-B-D2N11 | 200A | 1,198,000 |
300A | 1,350,000 | |
400A | 1,530,000 | |
GBT-B-N11 | 200A | 936,000 |
300A | 1,090,000 | |
400A | 1,270,000 | |
中継端子箱TB-B-Q4(13P) | 42,000 |